アパートとマンションにははっきりとした区別はありません。しかし、不動産業界では建物の構造の違いによって区別することが一般的です。
造りによって、長所と短所があります。物件を購入しようと考えているエリアでどのような造りの物件が求められているかを把握し、そのニーズにあった造りの物件を購入することで不動産投資のリスクを下げることができます。
造りの特徴を知って、不動産投資に役立てましょう。
アパートやマンションの構造の特徴
アパートはW造が多く、マンションはRC造、SRC造が多くなります。建築物にはいくつかの構造に分かれており、それぞれに長所と短所があります。それらの特徴を把握して、物件を購入するときの判断材料としましょう。
W造の特徴
W造とは木造のことです。日本の昔の家はほとんどが木造でした。日本国土の2/3は森林ですので、木材が豊富にあります。そのため木材を使った建築物がどんどんと作られ技術が格段に進歩し、日本には素晴らしい寺社仏閣などの建物が数多くあります。
W造のメリット
まずはW造のメリットについて解説します。
コストがかからない
W造の物件費用は安いことが特徴です。当然、修繕費用を安いため、定期的に必要となるメンテナンス費用も低く抑えることができます。
不動産投資を成功させるためのポイントの1つはコストを低く抑えることですので、これは大きな強みです。
1年間に計上できる減価償却費の割合が高くなる
木造は法定耐用年数が22年、RC造の場合は47年です。不動産所得について確定申告をする場合、減価償却費を経費として落とすことができますが、木造の場合、法定耐用年数が短いため、1年で計上できる減価償却費の割合が高くなります。
47年後まで不動産投資を続けている可能性が低い場合は、22年間で減価償却できることは節税のメリットがあります。
通気性がいい
木材は通気性に優れていますので、結露はあまり発生しません。
家具を配置しやすい
木造アパートは梁がなく部屋をすっきりとさせることができますので、家具が配置しやすいのが特徴です。
W造のデメリット
次に、W造のデメリットについて解説します。
遮音性が悪い
生活音が伝わりやすいため、騒音トラブルがおこりやすくなります。
耐震性が弱い
RC造やSRC造などの造と比べると耐震性は低くなります。
居住者の人気がない
日本は地震が多い国ですので、耐震性に弱い木造は人気がありません。また、音が響きやすく騒音トラブルが発生しやすいのも不人気要因の1つです。
RC造の特徴
RC造は「鉄筋コンクリート構造」のことを指し、鉄筋とコンクリートでからできています。組んだ型枠に鉄筋を入れ、そこにコンクリートを流し込み、建物の骨格を作り上げます。
引長力に強いけれども壊れやすく耐久性が悪い鉄筋、圧縮力に強いけれども引張力に弱いコンクリート、この2つの材料を組み合わせて使うことでお互いを補強しあい柔軟性のある強度を作り出します。また、コンクリートはアルカリ性のため鉄筋はさびにくく耐久性を保ちます。
RC造のメリット
RC造のメリットはどんなことがあるのか見ていきましょう。
耐震性に優れている
RC造は、コンクリートで作られた6面体となるものコック構造です。この構造はいくつかの外からの力が構造の一点に集中せず、振動を分散してバランスよく受け止めることで高い強度を作り出しています。
地震の多い日本では耐震性を重視する人が多いため、耐震性に優れていることはRC造の強みです。
耐火性が高い
RC造は部屋で出火したとしても、ほとんどは部屋内でおさまります。耐火性のコンクリートで覆われているため、延焼を防ぐことができます。
遮音性が高い
区画ごとにコンクリートで覆われていますので、音が伝達しにくい構造となっています。そのため、隣の部屋の生活音に悩むことは少なくなります。
融資期間が長くなる
RC造の法定耐用年数は47年です。そのため金融機関からの融資期間を長くすることができます。
RC造のデメリットとは?
RC造のデメリットについても確認しておきましょう。
結露が発生しやすい
気密性が高いため、結露が発生しやすくなりますので、換気対策が必要となります。ただし、この点に関してはペアガラスで対策することができます。
コストが高い
RC造は建築コストが高くなり、建築坪単価は80万~120万だといわれています。木造は約60万ほどですので、約2倍のコストがかかってきます。当然、修繕費用も高くなります。
ラーメン構造
鉄筋コンクリート構造は、柱・はり・壁・スラブ等から造られています。柱とはりを一体化して骨組を作ったものことをいいます。
壁式構造
鉄筋コンクリート構造は、柱・はり・壁・スラブ等から造られていますが、柱がなく、壁と床だけで建物を構成したものです。
SRC造の特徴
SRC造とは「鉄骨鉄筋コンクリート構造」のことを指し、鉄筋・コンクリート・鉄骨によって構成されます。
鉄骨の周囲に鉄筋を組み、コンクリートを打ち込んでおり、鉄筋コンクリートで包むことで、錆びを防ぎ耐久性を持たせることを可能にした造りとなっています。
SRC造は、鉄筋コンクリート構造の長所である変形のしにくさと鉄骨造の長所であるしなやかさの2つの長所を併せ持っており、風や地震に強いため、高層マンションでよく使われています。
SRC造のメリットとは?
SRC造のメリットをみてみましょう。
耐震性が高い
鉄筋コンクリート造と鉄骨造の長所を持ち合わせているので、柱や梁などのサイズが比較的小さくても耐震性の高い建物を建てることが可能です。
RC(鉄筋コンクリート)造とS造(鉄骨造)の特性を併せ持った構造とも言えますので、RC造りに比べて耐震性に優れています。
耐火性が高い
部屋ごとに厚いコンクリートで区切られていますので、隣の部屋への延焼を抑えることができます。
遮音性が高い
RC造よりさらに遮音性は高くなります。
融資期間が長くなる
SRC造の法定耐用年数は47年です。
SRC造のデメリットとは?
次にSRC造のデメリットです。
建築コストが高い
RC造より頑丈ですので、さらにコストは高くなります。建築坪単価は90万~130万です。
結露が発生しやすい
気密性が非常に高いため結露が発生しやすくなります。
S造の特徴とは?
S造とは柱や梁などに鉄骨や鋼製を使用した建物のことをいい、用いる部材の厚さによって重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分けられます。
S造の特徴としては、大きな空間の建物が建築できることできます。建物自体を軽くすることができるため工場、オフィスビル、体育館等の面積の大きな建物、また低層住宅から高層ビルまで幅広く採用されています。また、間取りを変更することも比較的簡単な造りです。
S造のメリットとは?
S造のメリットにはどんなことがあるのか解説します。
耐震性に優れている
鉄骨が揺れを吸収しますので、耐震性には優れています。
コストが安い
物件の購入費用も比較的安く、メンテナンスのコストも低く抑えることができます。建築坪単価は70万~100万です。
投資対効果が高い
RC・SRC造と同じようにマンションとして募集することができ、賃貸料も同等の価格となります。コストは低く抑えることができますので投資対策効果が高くなることがメリットです。
融資期間が長くなる
耐用年数は34年です。RC・SRC造ほどで長くありませんが、長期間融資を受けることができます。
S造のデメリットとは?
S造のデメリットを解説します。
遮音性が低い
振動を伝えやすいため、遮音性はRCやSRCより劣ります。
RS造の特徴
建物の下位部分にある柱、壁、床、天井などは鉄骨コンクリートの造り、その上部の架構部分を鉄骨造など異なる構造で造られています。RS造は形状の自由に造りことができるため低中層マンションを建設する際によく採用されています。
また、大型体育館や野球場、地下道や連結した商業ビル・マンション等にもよく用いられている造りです。
まとめ
不動産投資をする際、コストと需要のバランスで判断し物件を購入する必要があります。W造は物件にかかるコストを低く抑えることができますが、遮音性が低く、安全面が弱いことから敬遠される傾向があります。
一方、RC造、SRC造などは遮音性も高く、安全性も確保されていることで人気がありますが、物件にかかるコストが高くなります。
住み心地の良さについて多少妥協してでも、家賃の安い物件を借りたいと思う人もいれば、家賃が高くても住み心地の良い物件に住みたいと考える人もいます。
それは、あなたが購入しようと思う物件のあるエリアにどのような属性の人たちが集まってくるかによっても違います。まず、どのような造りの物件が求められているかを調査し、そのうえで収益を見込めそうな造りの物件を購入することが大切です。