アパート経営でリフォームやリノベーションする際の注意点

アパート経営でリフォームやリノベーションする際の注意点

賃貸経営で大きな支出を占めるリフォームやリノベーション。改修をする際に考えなければならないのは、費用対効果です。

ただ漠然と工事を発注するのではなく、賃料アップや、売却価格(出口戦略)まで考慮し、計画的にリフォームの是非や規模を判断しましょう。

おおよその費用や、施工会社の選び方のポイントなども解説します。

リフォームやリノベーションする際の注意点

賃貸経営におけるリフォームやリノベーションをしていく上で、何より重要なのは「費用対効果」を考えることです。

費用対効果を考える

賃貸経営では、リフォームやリノベーションは支出の大きな部分を占めるものです。どうしても必要だからこそ、計画的に進めることで、より有効に行うことができます。

賃貸経営で大切なことは、利益を最大化することです。リフォームにもこの考え方を適用し、費用対効果をできるだけ向上させることが目標となります。

お金をかければかけるほど良いということではなく、また安ければ安いほど良いというものでもないことは、お分かりでしょう。不動産を運用していくという視点から、何にどれだけ費用をかけるかという基準をもつことが大切です。

そのリフォームが、賃料の高低にどれだけ貢献できるか、または売却価格にどう影響するかを検討し、最終的には「利回りがよくなるかどうか」で判断します。

たとえばアパートの1室を和室から洋室にリフォームした場合。

施工費 100,000円
賃料 月2000円アップ(=年間24,000円))
利回り 24,000÷100,000=0.24=24%

2千円の賃料アップ(または賃料下落の抑制)に成功した場合、利回りは24%となり、1年に4分の1ずつ赤字が解消されて約4年で元が取れる計算になります。

ただし、もし賃料アップが望めないようなリフォームであれば、10万円は単なる赤字となってしまいます。

復旧かアップグレードか

リフォームを行う目的は、大きく2つあることを念頭におきましょう。

1つには、不具合を直す復旧工事、つまりマイナスを補ってゼロまたはプラスに押し戻すための工事。もう1つは、物件価値の向上を目的としたプラスαの工事です。

前者の復旧工事には、たとえば水漏れや、給湯設備の故障、浴室のタイルはがれ、外壁のひび割れ補修、窓ガラスの損傷といったものがあります。これらは、運営上どうしてもやらなければならない工事です。

後者は、アップグレードを目指すための工事といえます。たとえば和室を洋室に変更する、システムキッチンを新しいスタイルのものに入れ替えるといったものです。やるかやらないかで、どれだけ費用対効果が見込めるかを考えて判断します。

出口戦略を考える

アップグレード工事を行う場合、賃料アップを図るのか、成約率を上げたいのか、物件の資産価値を向上させて売却価格を上げたいのか、工事の目的をはっきりさせることが大切です。

管理会社からの提案でリフォームを進めることもあるかと思いますが、言われるままに受け入れてしまうと、結果的には不要なリフォームだったということも起こり得ます。

オーナーとして、自分の立ち位置をしっかり伝えましょう。現在の入居率、毎月の返済額、年間収支などから、短期保有したいのか長期保有したいのかという運用方針を定め、短期保有であれば、売却を視野に入れてリフォーム計画を立てます。

賃貸経営の基本は「売却」にあるのではなく「保有」することにありますが、いつ売却してもいいように備えておくこと、つまり、出口戦略を考えておくことが重要です。

費用はどれくらいかかるのか?

いったん不動産物件を保有すると、安泰なときもありますが、突発的な出費が重なり危機的な状況になることもあります。最悪の事態を考えて、ある程度の資金を貯めておきましょう。

リフォームするケース

リフォームとは、間取りの変更を伴わない修繕工事を指すと考えてよいでしょう。言葉の意味としては、元通りに使えるようにするというニュアンスです。たとえば、壁紙の張り替え、塗装の塗り替え、給湯設備の入れ替えなどが含まれます。

自然災害や火事などの損害保険の対象となるもの以外で、大きな出費が発生する修繕工事としては、次の3つが考えられます。

退去に伴う原状回復

退去に伴うリフォームは、退去者が出るたびに発生します。単身で長く住んでいた人が退去する際や、ファミリータイプの部屋では30〜50万円くらい費用がかかります。敷金の返還も発生します。入居者の退去時期を見定め、必要となりそうな部屋数分のリフォーム代を貯めておきましょう。

配管やタンクなど水回りの不具合

水回りの不具合は数万円から数十万円の出費となります。築20年を超えた物件では、1年のうちにも頻回に発生するかもしれません。入居者全体に影響したときなど、工事に即断が必要となることもあります。その場合は吟味できない分、節約しづらい性質のものとなります。見積もりをとっておくなど事前の準備をしておくことが大切です。

外壁・屋上・バルコニーの劣化

建物に防水工事を全面的に行うと、物件の規模によって数百万〜1千万円以上の出費となります。水漏れがあった場合は緊急の対応が必要です。応急処置の部分的な補修であれば数万円で済みますので、水漏れが発生したら、まず応急処置を施し、それから全面補修について検討します。

リノベーションするケース

リノベーションは、既存の建物の間取りや構造を変える大がかりな工事を伴うものです。キッチンとリビングの壁を取り除いてひと続きにする、1階と2階を分けて2世帯住宅にするなど、直すというよりも作り替えるイメージになります。間取りやデザインなど、変更の自由度が高いところが利点です。

リノベーションの場合、ワンルームマンションで6百万円前後、一戸建てで1千万円前後が平均的な費用でしょう。ただし、同じ大きさの建物でも、既存の設備を生かす場合と、柱だけを残して全面的に解体してつくり直す場合などで、費用や工期が大きく異なります。

水回りなど配管の多い場所の間取り変更があれば5百万円以上、さらに耐震補強や外壁に手を加える工事となれば1千万円以上の費用がかかるでしょう。

固定価格のリノベーションも選択肢の1つです。いくつかのパターンが決まっていて、素材や色などを選んで組み合わせます。フルオーダーではなくセミオーダーのリーズナブルな価格となり、ワンルームなら3百万円から行えます。

業者選びのポイント

各施工会社には得意な分野や、そうでない分野があります。業者の形態もさまざまです。

業者の種類

受注可能な施工会社には、次のような種類があります。

リフォーム専門会社

中小規模の会社が多く地域密着。リフォーム全般に幅広く対応しています。中小の工務店は元請けにも下請けにもなり得ます。

住宅メーカー

住宅メーカーの子会社や系列会社。自社物件のアフターフォローやメンテナンスを主目的とした事業です。

建築事務所

建築士が図面を引くので、設計の自由度が高く、大規模なリノベーションが得意。設計料が上乗せされる分、割高になります。

専門工事業者

特定の専門工事のみを請け負う会社。特定の技能を要する工事では専門業者に頼むことになります。

家電量販店やホームセンター

販売している商品の取付工事を行います。融通が利きにくい面があります。

住宅設備メーカー、電気・ガス会社など

それぞれ自社製品を扱う部門や施工会社のネットワークをもっています。

建設業界は階層構造になっている

建設業界は、元請け、下請け、孫請け…という階層構造になっています。階層が深くなるほどマージンの料金部分が多くなりますから、それが必要な出費かどうかを見極めなければなりません。

大手リフォーム会社や評判のいい会社に依頼したとしても、実際にその会社が施工するとは限りません。多くの場合は受注だけして、工事は他の施工会社を手配することになります。大手ほど料金は高くなる傾向にありますが、保証やアフターサービスに安心感があるとはいっても、実際に施工するのは結局、下請けの地元業者です。

小規模な工事や工事箇所が少ない場合には、ピンポイントでその工事が得意な業者を探して直接依頼できれば、仕上がりはよく、費用も抑えられます。

業者の選び方

大規模でさまざまな技能が必要とされる工事では、いくつかの下請け業者に分担されることを前提に、信頼できる会社に取りまとめをしてもらうつもりで発注するとよいでしょう。その場合に考慮すべきポイントには、次のようなものがあります。

希望の工事内容の実績があるか

その会社の得意分野や過去の実績を調べましょう。工事の内容や規模に合った業者かどうかを見極めます。実績があるということは、自社でそのスキルをもつ職人を雇っているか、その工事ができる下請け会社とのつながりが、すでにあるということです。

詳細な見積もりを出すことができる

見積もりは、できるだけ同じ工事条件で数社から出してもらいます。各社で見積もりの書式が異なるため比較が難しいのですが、細かい内訳を出してくれる、丁寧に説明して質問に答えてくれるといったことも、業者選びのポイントになります。工事一式といった大雑把な見積もりを出し、材料費をごまかす業者もいます。

業界団体に加盟している

日本住宅産業リフォーム協会など各種業界団体に加盟しているかどうかをチェックします。加盟に必要な資格や各団体の理念などから、その業者が満たしている基準や、もっている理念などをひと通り確認できます。誰でも入れる団体もあり一概にはいえませんが、悪質業者を除外するための1つの目安にはなるでしょう。

リフォームやリノベーションの流れ

リフォームやリノベーションの基本的な流れは、希望の確認、相談・見積もり、現地調査、契約、着工といったものになります。

発注する業者を絞ったら、打ち合わせを十分に行い、見積もりと工事プランを出してもらいます。

自分の希望に合った適切なプランを出してくれるかどうか、押し付けるのではなく話を聞いてもらえるか、見積書のわからない点について納得のいく説明をしてもらえるかどうか、などを確認します。

図面だけでは素人にはわかりにくいので、完成予定図を見積もり等とともに出してもらいましょう。

リフォーム瑕疵保険制度を利用していれば、施工後、建築士の資格をもった検査員が第三者として検査してくれます。第三者の目があるので手抜き工事の防止になり、もし瑕疵があった場合には施工会社が責任をもって対応しなければなりません。施工会社が倒産した場合の保証も受けられます。

賃貸物件の場合、リフォームに時間がかかると、それだけ入居者の募集が遅れ、その間の家賃は入ってきません。安く発注するために時間がかかってしまうよりは、できるだけ早くリフォームを完了させ、空室を埋めることが優先されます。コストと時間のバランスをとることが大切です。

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