これから不動産投資を始める方の中には、既に会社や役所などで働いていて、本業をお持ちの方も多いことと思います。そこで気になるのは、「不動産投資が副業禁止規定に該当するか?」ということではないでしょうか。
- 副業になるなら不動産投資はできないのか?
- バレずにできる方法はあるのか?
- バレたらペナルティを受けるのか?
これらの疑問について、わかりやすく解説します。内容を参考にして、本業と不動産投資を両立していきましょう。
サラリーマンや公務員の副業禁止規定
サラリーマンや公務員が働く会社には、「副業禁止規定」というものがあります。まずはこのルールについて見ていきましょう。
副業とは?
副業とは、一般的に本業以外の収益源を持つことです。例えば、朝から夕方まで会社で仕事をして夜にバイトをするなど、本業以外の仕事を行っている場合を指すことが多いです。
サラリーマンの副業禁止規定
サラリーマンの副業については、会社ごとの就業規則に定められていることが多く、何が副業に該当するか、何が禁止かというのはまちまちです。会社によっては、本業に集中してほしいという思いから、副業を一切禁止にしている場合もあります。
ただし、この就業規則には絶対的な法的拘束力はなく、必ず守らなければいけないということはありません。ですが、一定のラインは守る必要があります。会社員が副業を行って問題となるケースは、以下の2つのいずれかに該当した場合です。
- ① 副業によって会社収益に悪影響を与えた
- ② 副業によって会社での自分の労働状況に悪影響が出た
①については、会社で得た技術やスキルを活用し、収益を上げた場合が該当します。また、社内の情報をリークして金銭を得た場合も該当します。
②については、終業後にアルバイトを行い、寝不足になってしまって本業の効率が著しく低下してしまったり、勤務中に頻繁に電話等で副業の対応を行っている場合が該当します。
これらに共通することは、「会社に迷惑をかけた」という点です。迷惑をかけなければ何をしてもいいということではありませんが、会社からすれば、最低限、会社に悪影響を及ぼさないでほしいというのは当然ですし、過去の判例から見ても、裁判官もそのように判断しています。
公務員の副業禁止規定
公務員の場合は、法律によって明確に副業が禁止されています。国家公務員も地方公務員も、一般企業で働いてはいけませんし、自分でビジネスをしてもいけないとされています。ただし、何らかの理由があって許可が下りれば可能な場合もあるようです。
この考え方の根本には、公務員の以下の3原則が関係しています。
信用失墜行為の禁止(国公法第99条)
公務員や職場のイメージや信用を落としてはいけないため
守秘義務(国公法第100条)
業務内の機密が、副業によって外部に漏れ出ることを防ぐため
職務専念の義務(国公法第101条)
副業による肉体的な疲労や精神的な疲労で、本業に悪影響が出ることを防ぐため
一般企業でも当てはまりそうな内容ですが、公務員は公共性が高いため、法律で厳格に副業が禁止と決まっています。ただし最近では、公務員の副業も徐々に認められる風潮になってきています。
2017年3月に、神戸市は、職員がNPO法人で活動できるようにする、との内容を発表しました。これは、職員が外部の仕事と接することで、副業で得た知見を本業に活かし、本業の仕事の質を高めるという狙いがあります。
また、定年前からNPO法人を通じて地域貢献などを行うことで、第二の人生を歩みやすくする狙いもあるとのこと。世間の評価も悪くなく、肯定的な意見も多いため、この神戸市の取り組みを起点にして、公務員の副業解禁が徐々に全国に広まる可能性もあります。
そうなれば、公務員でも堂々と副業を行えるようになりますね。
不動産投資は副業に当たるのか?
まず、会社員であっても、公務員であっても、基本的には不動産投資を行うことができます。不動産投資は「投資」で、株やFXと似ています。特に公務員は、仕事が安定しているというように銀行から高評価を受けることが多く、融資の面で非常に有利になります。
ただし、会社員も公務員も、不動産投資の規模が大きくなったり、本業に悪影響が出るような状態であれば、副業とみなされてしまう場合もあります。
次にいくつかの事例をご紹介します。
勤務中に行うケース
勤務中に、仲介会社と電話で交渉したり、外回りのついでに打ち合わせや金消契約に行ってはダメです。これは会社に迷惑をかける行為になってしまいますし、本業をおろそかにしていることになるので、処分を受けても文句は言えません。
労働基準法の観点から見ても、解雇される可能性があります。どうしても連絡が必要な時は、休み時間や就業後に行いましょう。
勤務時間外で本業に迷惑をかけないケース
勤務時間外であればプライベートな時間ですから、会社側が社員に干渉することはまずありません。また、疲労などで会社に迷惑をかけることもないわけですから、全く問題ありません。勤務時間外に思う存分不動産投資を行いましょう。
ちなみに、勤務時間外に行っており、かつ会社に迷惑もかけていないのに会社から処分を受けた場合は、会社側が労働基準法を違反しているので、会社を訴えることができます。
勤務時間外で本業に迷惑をかけてしまうケース
この場合は少し複雑ですが、副業OKの基準が「会社に迷惑をかけない」ということなので、迷惑をかけている時点でアウトです。
副業を会社にバレずに行う方法
今まで見てきたように、不動産投資を行うにあたっては、本業に影響が無いように注意を払う必要があります。では、そもそも会社に申告せずに、バレないようにできないのか?というのが気になるところですよね。
実際には、職場に申告せずにこっそり不動産投資をしている方が大多数です。そもそも面倒ごとにならないように隠れてやっているわけですね。では、このような人たちはどのようにして会社にばれずに不動産投資を行っているのでしょうか。
会社にバレる仕組み
会社にばれる仕組みは、「住民税です」。
毎年末に行う年末調整のタイミングで、会社は自治体へ「給与支払報告書」というものを発行・送付します。それを受け取った自治体は、給与支払報告書をもとに住民税額を決定し、「住民税課税決定通知書」を会社へ送付します。
それを受け取った会社が、給与に見合わない住民税額だと気づいてしまうと、そこから副業がばれる可能性があります。
会社にバレないためには
会社にばれずに不動産投資を行うためには、不動産投資の収入を確定申告する際、住民税の通知を「普通徴収」にしてください。手続きも簡単で、普通徴収の欄に〇をつけるだけです。
住民税は、通常、会社からの天引きですが、これを自分で納めることを普通徴収と言います。不動産収入による住民税の増加分について、自分で納めることにすると、会社へ通達される住民税額は給与分程度となり、副業がばれる心配がありません。
なお、社内の親しい友達や、他の社員がいる飲み会などでポロッと言ってしまうことは絶対に避けましょう。そこからばれてしまうリスクは高いので、あなた自身の発言には注意を払うように気を付けてください。
不動産投資は、いくつかの条件がありますが、副業とはみなされないケースが多いので、基本的には安心して大丈夫です。会社に知られずに不動産投資を行う場合は、確定申告の際に、住民税を「普通徴収」にすることを忘れないようにしましょう。