不動産投資の物件を選ぶとき、立地と並んで重要なポイントが「間取り」です。
しかし、人気となる間取りはそこに住む人たちの年齢や性別、ライフスタイルや属性によって変わってきます。物件を購入しようと思っているエリアに多く集まっている層を把握し、どのような間取りが求められているかをつかむことが大切です。
ますはターゲット毎の人気の間取りについて知り、不動産投資を有利に動かしましょう。
入居者のニーズをつかむには
物件を購入したいと考えているエリアがあるなら、そのエリアの特徴をつかむべきです。例えば、大きな総合大学があるエリアなら学生が多く集まりますし、都心に近いエリアならDINKSや単身者が多くなります。
近辺に公務員の官舎や大企業の社宅が多い場所であれば、教育熱心な家庭が多くなるため評判のいい公立学校であることが多くファミリー層が集まってきます。
ターゲットを細分化する
学生、ファミリー、高齢者層の大きな分類のなかでも、属性、性別、ライフスタイルなどを細かく分類することで、求められる物件のタイプを具体的に絞ることができます。そうすれば不動産投資で失敗するリスクをさらに減らすことができるでしょう。
まず、購入希望エリアに集まりそうな属性、性別、年齢、ライフスタイルなどを徹底的に調査することがポイントです。
例として、物件購入希望エリアに人気女子大学がある場合、以下のような人がターゲットになると考えられます。
- 属性=学生
- 性別=女性
- 年齢=18~22
- ライフスタイル=自炊が多い、安全面重視
ニーズを把握する
属性、性別、年齢、ライフスタイルに分類して調査したら、そこからニーズを探ります。上記のように、近隣に女子大学があるエリアで求められる物件とは?
ワンルーム、1Kに需要がある
学生の7割はワンルームもしくは1Kを選びます。女子学生は自炊することが多いですが、においが服につくことを避けるために寝室と食事を別にすることができる1Kが人気です。
安全性が高い
女子学生が一人暮らしする場合、まず、安全面を重視した物件に需要があります。オートロックや防犯カメラなどが設置されているとポイントが高くなります。
帰り道が暗いと危ないため大通りに面している物件やコンビニが近くにある物件もいいでしょう。
家賃や安い
学生は親からの仕送りが必要となるため、できるだけ負担がかからないよう狭くても手頃な家賃の物件が好まれます。
ターゲット別人気の間取り
学生、ファミリー、高齢者それぞれに人気となるのは、どのような間取りなのか見ていきましょう。
学生に人気の間取り
学生は家賃が安ければ、物件が古くても入居者を期待することができますので、初期投資を低く設定して不動産投資を始めることができます。
まずは、学生が求めるのはどのような間取りなのかについて解説します。
一般的な学生の借り手が多い間取りとは?
学生が選ぶ一般的な間取りはワンルーム、1kです。学生への仕送りは年々減っており、平均額は月7万円ですので、賃貸費用を抑えるためにもコンパクトな部屋が求められています。
広さの標準は15㎡~20㎡ほどで、ベッド、テレビ、机、本棚など最低限の家具が置ければ借り手が見込めます。
どのような学生が多いかによってニーズを絞る
大学にどのような学部があるのかも判断材料の1つです。例えば、音楽科であれば自宅でも楽器の練習をしたい学生が多くなりますので、遮音性の高い物件が人気となりますし、医学部や薬学部などあればたくさんの本や資料を保管することができる広めの部屋が好まれます。
国公立大学であれば、家賃の安い物件に人が集まりますし、富裕層に人気の有名私立大学であれば、多少家賃が高くとも需要があります。
ファミリー層に人気の間取り
では次に、ファミリー層からの需要が多いのはどのような間取りなのか見ていきます。
リビングが広い
ゆっくりと家族団らんを楽しむことができる広いリビングがある間取りはファミリーに人気です。また、近年「リビングで勉強をすると成績がよくなる」という考えもこの人気を後押ししています。
対面式キッチン
親は仕事に育児、家事と大忙しです。しかし、子どもとのコミュニケーションはいつの時代でも大切です。会話をすることや子どもの様子を知ることの重要性を親は感じています。
対面式キッチンであれば、料理や洗い物をしながら、子どもの様子を見たることや会話することができますので需要が多くなります。
リビングの隣に小さな和室
和室よりも洋室のほうが近年人気ですが、リビングの隣に小さな和室があると何かと便利で人気があります。
子どもが小さなときは、よく転びますので畳はクッションになりますし、昼寝させるときも畳のうえに布団をひくほうが衛生的です。リビングでいても、子どもが昼寝している様子を確認できるのも安心できます。また、冬場はこたつを置けば、家族が自然と寄り添う空間を作ることができます。
子ども部屋を考えて間取りを選ぶ
子どもの数や性別に合わせて間取りを考えるファミリーが多いのが特徴です。いまは少子化で1世帯に子どもが2人以内の家庭が多いため、2LDK~3LDKの人気です。
最近の物件であればサービスルームのついている間取りもありますが、窓のついているサービスルームであれば書斎や子ども部屋にする家庭も多くあります。
どのような子ども部屋を与えるかは家庭の教育方針によって違ってきます。日当たりのいい6畳以上の広い部屋を与えたいと考える家庭もあれば、子どもが引きこもらないようにあえて狭い部屋をあたえる家庭もありますし、北向きの部屋は勉強がはかどるとの考えから、日当たりの悪い部屋をあえて選ぶ家庭もあります。
高齢者に人気の間取りとは?
高齢化が進んでいる日本では2060年には2.5人に1人が65歳以上になると予測されています。高齢者をターゲットにした物件はこれからも多くの需要が見込まれるでしょう。
高齢者の需要が高いのはどのような間取りなのか解説します。
<h4>バリアフリー仕様になっている高齢者になると足腰が弱くなるため、階段を上り下りすることが辛くなってきます。そのため、二階建て住宅に暮らしていても、二階のスペースをほとんど使用していない高齢者が多くいます。
高齢者には、段差のない平屋やエレベーター付きのマンションが好まれます。段差がなく、手すりがついているなどバリアフリーになっている物件が人気です。
<h4>日当たりが大切高齢者になると部屋で過ごす時間も長くなりますので、リビングは日当たりの良い南向きが好まれます。
部屋数はいらない
一人暮らしの高齢者であればマンルームや1K、1LDK。高齢の夫婦で暮らす場合でも1LDKか2LDKで十分です。子どもがいませんので部屋数は必要なく、そのかわりゆったり過ごせるような広いリビングのあるタイプの間取りが求められています。
不人気の間取り
たとえ立地のいい物件を購入したとしても、需要のない間取りを選んでしまえば、集客を見込めなくなってしまいます。ここからは、人気のない間取りについて見ていきます。
洗濯機が外
古い物件だと洗濯機を設置する場所が外になる物件があります。夏の暑い日や冬の寒い日に外で洗濯したいと思う人はいないでしょう。洗濯機をしている姿を周囲の人から見られるのも嫌なものです。また、洗濯機の音は響きますので、早朝の洗濯にも気を使います。
リフォームすることで室内に洗濯機を配置できるのであればいいですが、リフォームすることも難しい場合は購入を控えたほうがいいでしょう。
形がいびつな間取り
形がいびつな間取りであると家具の配置が難しく、落ち着かない空間になってしまいますので人気がありません。
玄関をあけるとリビング
リビングは家族がもっともくつろぐことができる憩いの場所です。来客があるたびに、玄関からリビングが見えてしまうと落ち着かない場所となってしまいます。
2DK
40年前は2DKの間取りが人気で大量に供給されました。しかし、いまは1つ1つの部屋を広めにとる間取りに人気があり、とくにリビングが広い部屋が好まれます。
そのため、2DKの需要は減っています。ただ、2DKの場合、1LDKの間取りにリフォームしやすい物件もたくさんありますので、そのような物件であれば購入を考えていいでしょう。
まとめ
学生、ファミリー、高齢者、どの層をターゲットにするかによって求められる間取りは変わってきます。このとき、さらに細かく、性別、属性、ライフスタイルまで細かく分類して人気のある間取りの物件を選ぶことで、不動産投資のリスクを低く抑えることができます。
ただ、街自体は変わっていきますので、以前は学生に人気だった街が高齢者に人気の街に変わってしまうこともあります。
流行によって間取りを変えることができるようリフォームしやすい物件を購入するのもいいでしょう。そのときの需要を見極め、ニーズに合わせて物件を変化させていくことも大切です。