収益物件の売買では建築確認済証と検査済証を確認しよう

収益物件の売買では建築確認済証と検査済証を確認しよう

収益物件を売買する際に、見落とされがちな「建築確認済証」と「検査済証」。

この2つを知らないまま不動産投資を始めてしまう方もいますが、収益をあげたいと考えているなら、この2つに関する知識は持ち合わせておくべきです。

ここでは、建築確認済証と検査済証について分かりやすく解説します。

建築確認済証とは

不動産投資を始める場合、まず収益を上げる物件を購入します。その際、確認する必要があるものの1つとして、建築確認済証と検査済証があります。

これらの証明があれば、物件を増改築することや、売却することになったときにスムーズに計画を進めることができます。

ただし、この証明がないからといって、不利になるわけではありません。この証明がないとき、どのような段取りで進めればいいか知っておけば問題が解決される場合もあります。

建築確認済証について

日本には建築基準法という法律があり、建築する建物に関して様々なルールを課しています。それら全てのルールをクリアしなければ、建物は適法とは認められません。

一定規模以上の建築物を新築する場合、大規模修繕、改築、移転、用途変更などをする際、事前に建築確認を申請し、建築関係の法令である建築基準法に合っているかどうか、審査を受ける必要があります。

そして、設計などに問題がなければ、建築確認済証が発行されます。その書面が発行されて、はじめて工事に着工することができます。

注意すべきポイントは、建物完成後、その建築物が建築基準法に沿っていると判断されて発行された証明書ではない、ということです。

建築確認済証が必要な区域や建物

都市計画区域と準都市計画区域、および都道府県知事が指定する区域内では、ほぼすべての建築物で建築確認が必要です。

さらに、3階建て以上または延面積が500平方メートルを超える木造建築物、2階建て以上または延面が200平方メートルを超える木造以外の建築物、延面積が100平方メートルを超える特殊建築物などは、全国どこにあっても建築確認を受けなければなりません。

民間の指定確認検査機関でも建築確認ができる

以前は、建築確認に関する仕事を行うことができるのは、建築主事(建築基準法第4条に規定により建築確認を行うため地方公共団体に設置される公務員)のみでした。

ですが平成11年5月1日に施行された改正建築基準法により、建築主事だけではなく民間の指定確認検査機関でも、「建築確認」を取り扱うことができるようになりました。

1999年5月1日施行の改正建築基準法以前、建築確認済証は「確認通知書」(建築確認通知書)と呼ばれていたため、現在も「建築確認通知書」という名称でやりとりされることがよくあります。

取得するには

建築確認済証を取得するには、建築確認申請書を建築主事もしくは民間の指定確認検査機関に提出する必要があります。

建築確認申請書を提出後、建設内容、スケージュール等が確認され、建築基準法に適していると認められれば、建築確認済証が交付されます。この建築確認済証がなければ、工事に着手することができません。

紛失した場合の再発行はできるの?

原則、建築確認済証の再発行を行うことはできません。

市町村により、対応は異なりますが、紛失した場合は、建築確認台帳記載事項証明書を発行し、建築確認済証の代用を行うことが多いようです。

建築確認台帳記載事項証明書を発行する場合、物件を特定するために、「建築確認番」、「建物の位置」、「建物が建設された時期」などの情報が必要になりますので、取得したい場合は、事前に市町村に問い合わせてから、足を運ぶようにしましょう。

不動産投資を始めると、金融機関などへ建築確認済証を提出する必要がでてくることがあります。

建築確認済証の再発行はできませんが、ほとんどの金融機関では、市町村が交付する「建築確認台帳記載事項証明書」で代用することができます。

検査済証とは

建築物の工事完了時に、建築確認申請書通り、建築基準法に基づいて合法的に建てられたものであるかどうかの完了検査を、建築主事や指定確認検査機関が行い、合格した場合に検査済証が発行されます。

しかし、以前は完了検査の実施率は非常に低く、1998年度は約38%しか検査済証が取得されていませんでした。

完了検査の実施率をあげるために、自治体により3ヵ年計画(2002年~2004年)が実施されたほか、国土交通省から各金融機関に対して、検査済証のない建物への住宅ローン貸付けを控えるように要請したことなどから、近年、検査済証の取得率は7割まで上昇しています。

完了検査の申請を行い、検査済証を交付してもらうことで、欠陥住宅を購入するリスクを防止することができますので、完了検査は受けておくべきです。

検査済証がなくても増改築が可能に

平成初期までの物件の7割は、完了検査が行われておらず、検査済証が発行されていないため、増改築を断念した不動産所有者もいました。

このような問題を解消するために、国がガイドラインを作り、検査済証のない建築物に関しても、その建物の法適合状況調査を行い、その調査に合格することで、建築主事などが確認申請を受理し、増改築などが行うことができるようになりました。

ただし、この保適合状況調査により、その建築物に違法性が認められた場合は、増改築を行うことができないので注意しましょう。

検査済証を取得するには

工事完了後、原則として4日以内に完了検査申請を提出する必要があります。その後、担当職員が現地での完了検査、試験成績書などのチェックを行い、建築確認申請書通り、建築金法に適合しているかどうかを審査します。

この工事完了検査の審査に通り合格した場合に、建築主に検査済証が発行されます。

紛失した場合の再発行はできるの?

検査済証の発行は基本的にできません。ただし、市町村窓口で、建築物についての情報の詳細について伝えることで、検査済であることの証明を発行することはできます。

増改築などを行う場合などに、検査済証が必要になる場合がありますが、市町村の窓口で発行された「検査を受けたとわかる証明書」で代用できる場合がほとんどです。

まとめ

建築確認済証と検査済証がある物件は、購入後に金融機関を通して取引をする場合や、増改築する場合に、スムーズに話をすすめることができます。

また、その物件が完成したときに、検査機関で建築基準法にそって合法的に建築され、検査済証が発行されていれば、欠陥住宅を回避できるというメリットもあります。

ただ、建築確認済証と検査済証のそろった物件は、購入費用も高くなります。この2つが揃っていない物件でも、代用する書類を揃えることで増改築やローンを組めるので、購入費用が安くて立地がよければ、高い収益を上げることができる物件も数多くあります。

リスクと収益性を天秤にかけ、十分に投資する価値がある物件だと判断した場合は、その物件を購入することをおすすめします。