不動産投資のリスクの種類と失敗して自己破産した理由

不動産投資のリスクの種類と失敗して自己破産した理由

一般的に不動産投資はミドルリスクミドルリターンと言われ、株やFXなどと比べれば、リスクが低く安定して収益を得られます。しかし、投資である以上リスクが全くないわけではありません。

そのリスクを自分の力で考える力が無いと、業者にカモにされて大きな損失を被ることになってしまいます。

そこで今回は、不動産投資におけるリスクや失敗事例をいくつか紹介します。この内容を参考にして、自分自身でリスクコントロールをして、安全に不動産投資できる環境を整えられるようにして、自己破産のリスクをなくしましょう。

不動産投資のリスクの種類

「不動産投資にはリスクが付き物」。このように感じている方も多いと思いますが、具体的にどのようなリスクの種類があるのでしょうか。

リスクや問題が起こる原因や、その対処法がわかっていると、安心して投資を始めることができます。まずはリスクの種類から見ていきましょう。

空室リスク

空室リスクとは、空室が発生し、それによって収益が圧迫されてしまうリスクのことです。不動産投資で最も重大なリスクは空室リスクで、この対策を怠ると収益を大きく損ねてしまうことになる可能性があります。

不動産投資は、通常、入居者からの賃料から返済額などを引いた金額が収入になります。入居者が少なければ、家賃収入が減ってしまって、最悪の場合、赤字が発生してしまうことにもなります。

この空室が発生してしまう一番の原因は、立地です。そもそも人が少ない地域の物件を買ってしまうと、それだけで空室リスクが高くなります。人がいないところにお店を出しても儲からないように、人がいない地域の物件を買っても失敗するリスクが高くなります。

また、一見すると人が多そうな地域でも、買ってはいけない物件があります。それは、企業と大学が近くにある物件です。

企業や大学が近くにあれば、自然とその周りに人が増えて、物件も埋まりやすいはずと考えるのは、それはそれで正しいことです。ただし、それは企業や大学がずっとその場にあり続けるならの話です。

企業や大学の経営が順調なら問題は無いですが、経営悪化で潰れてしまったり、他場所と統合、よそへ移転ということになってしまうと、それまで企業や大学周りに住んでいた人たちも一緒に移動してしまいます。

その結果、物件周りに人がいなくなり、空室リスクがいきなり高くなってしまうということもありえます。このように、そもそも人がいない地域は空室リスクが高いですし、企業や大学に依存しているような地域は、潜在的に空室リスクがあるということを覚えておきましょう。

対策

実は、不動産投資で最も重要なことは、良い立地の物件を買うことです。これが空室リスク対策にもなります。

金利などの返済条件や、物件の価格は、交渉で何とかできないことはないですし、物件そのものもリフォームによって価値を高めることができます。

しかし、立地だけはどうすることもできません。買ってしまったら、売却までその場で頑張るしかありません。立地に関しては十分注意を払って、特に土地勘のない土地ほど慎重になり、物件選定を行うべきです。

まず人がいないエリアは避ける。というより、都市部を狙うといった方がわかりやすいですね。東京、大阪、名古屋などの大都市の中心地周辺あたりがおすすめです。

都市部の物件はやや割高にはなりますが、空室リスクを抱えるなら、多少利回りを落としても都市部に買う方が安全です。

「田舎に物件を買って、リフォームして満室にするのが一番儲かる」みたいな本も出ていますが、確かに儲かるのですが、かなりの実力者でないと無理です。更に言うと、この手法は、もし物件が埋まらなかった時に損切りできる覚悟が無いと無理でしょう。

これから不動産投資を始める方は、まずは堅実に「人が多い地域」を選びましょう。

また、企業や大学の移転リスクは、その企業や大学が抜けても人が残る地域かということを考えてください。例えば、企業や大学が都市部にあるなら、さほど問題にはなりません。

しかし、田舎の中にポツンと大きな企業の工場や大学のキャンパスがあるなら、そこが抜けた時の穴は大きいと考えることができます。結局、企業や大学の移転リスクも、都市部の物件であれば問題にはなりにくいといえます。

金利上昇リスク

金利上昇リスクとは、不動産ローンの金利が上昇し、返済額が増えてしまうリスクです。金利の見直しは、一般的に年2回とされていますが、金利が変動する根拠については一般的に開示されていません。

しかし、金利がいきなり上がることは無く(3%以上)、それほど恐れる心配はありませんが、賃貸収入に対する返済比率が高く、あまり売り上げに対するコストのマージンが無い物件を持っている場合には少し注意しておいた方が良いでしょう。

対策

対策は2つあります。1つ目は、繰り上げ返済です。繰り上げ返済とは、ある程度キャッシュが溜まった段階でまとめて返済し、月々の返済額を減らすということです。

ただ、繰り上げ返済はあまりお勧めしません。それは、手持ちのキャッシュが減ってしまうからです。

手持ちのキャッシュは次の物件を買うために使う方が収益の伸びは大きいので、基本的に繰り上げ返済するのはおすすめしませんが、物件を買う予定が無かったり、返済比率が大きい場合には、検討してみてもいいかもしれません。

2つ目の対策は、融資を受けるときに、固定金利で契約することです。固定金利は契約時の金利が変動金利に比べてやや高いことがネックですが、契約後は金利が上がることはありませんので、金利上昇に備える(金利が上がりそうな局面)なら選択肢にいれましょう。

返済リスク

返済リスクとは、銀行への返済が滞ってしまうリスクのことです。銀行への返済ができなくなると、抵当権を実行されて物件を取り上げられ、競売にかけられてしまいます。

この原因はいくつかあります。先に紹介した空室や金利の上昇によって返済が厳しくなることもありますし、もう1つは家賃が徐々に下落していくことも関係しています。

家賃は、物件購入時が最も高く、年月が経つと物件も古くなっていきますので、周辺物件との相場に合わせて、徐々に家賃を下げる必要が出てきます。賃料が下がれば収入が減りますので、これも返済リスクにかかわってくるというわけです。

対策

空室リスクや金利リスクは先ほど紹介しましたので割愛します。

賃料が下がることに対しては、これは物件の価値を高めるしかありません。以前紹介した「家賃を値上げする際の注意点と拒否された場合の対処方法」で、家賃の上げ方について詳しく解説しましたので、参考にしてください。

他には、他行への借り換えと、返済リスケがあります。

借り換えとは、他の銀行から現在の銀行よりも良い条件で融資を受け、現在の銀行の残債をペイしてしまうことです。こうすることで、月々の返済負担を減らし、返済リスクを下げることができます。

返済リスケとは、借入金の返済額を一時的に減額(少し待ってもらう)してもらうことです。銀行にもよりますが、最長で1年程度待ってくれます。リスケとは「リスケジュール(reschedule)」の略語です。

このリスケをしている間に、経営を立て直してもらった方が銀行側としても得なので、本当に経営が厳しい時は銀行に相談しましょう。ただし、一度リスケをすると、もうその銀行からの融資は受けられなくなりますので、その点は注意しましょう。

自然災害リスク

自然災害によって、投資物件がダメージを負ってしまうこともあります。物件が大きく損傷してしまった場合、人が住めなくなり、収入が減ってしまう可能性がありますし、さらに修繕費用もかかります。

対策

自然災害には下記の種類があります。

  • 地震災害
  • 火災
  • 風災
  • ひょう災
  • 雪災
  • 水災

これらは全て保険で対応が可能です。地震は地震保険、その他は火災保険に加入することで保険を掛けることができます。地震とその他がなぜ分かれているかというと、地震保険は国が支払うことになっていて、その他は各保険会社が支払うということになっているためです。

保険に入る際は、地震保険と火災保険は一緒に入りますし、窓口も保険会社なのですが、支払う機関は異なります。また、地震保険は火災保険の半分までしか付保できないという制約があります。

そのため、地震が多い地域であれば、物件の残債をペイできる金額の2倍を付保できる火災保険に加入したほうが良いでしょう。

耐震性リスク

ここでの「耐震性リスク」とは、1981年を境に地震に対する耐震基準が改められたのですが、それ以前(1981年以前)の建物は新耐震基準に適合するよう工事が必要になるリスクのことを指しています。一般的には100万円から150万円程度の工事費が必要となります。

もし旧耐震基準のまま工事をせずに、実際に地震によって建物が倒壊し住人がケガをした場合、住人から訴えられるリスクもあります。

対策

物件購入前に、1981年以前の建築かどうかを確認する。もしくは、耐震工事をしたかどうかを確認する以外にありません。旧耐震基準の建物であれば、購入を避けたほうがいいでしょう。

滞納リスク

滞納リスクとは、入居者が家賃を滞納するリスクのことです。滞納は、民法上は家賃の支払いが3ヶ月にわたって行われていない場合をいいます。

対策

家賃滞納の対策としては、入居時の審査をちゃんと行い、家賃が払えそうかをオーナーが判断するしかありません。例えば、会社員でしっかり給与がある人と、フリーターの人なら会社員の方が安心です。

また、保証人や保証会社をいれるのもひとつの手です。

事故物件リスク

事故物件とは、入居者が過去に自殺や他殺で亡くなったことがある物件のことです。このような物件は、当然ながら人気がありませんので、価値が下がり入居者が入らなくなる空室リスクもあります。

対策

事故物件の告知義務はあいまいで、明確なルールは無く、告知しなくてもその時点では問題ありません。

ただ、事故があったことを隠しておくことはあまりおすすめできません。後々になって、事故物件に住んでいる人が事故のことを知った時に、告知していなかったことを理由に訴えられる可能性があるからです。

このようなリスクを避けるため、道義的に考えても告知は行うべきでしょう。

また、一度誰かが事故物件に住んだり、一定期間経過後は告知義務が無くなると言われますが、これもケースバイケースなので、誠実に対応することをおすすめします。物件の風評被害は時間とともに解決していきますので、それまでは辛抱強く対応していきましょう。

流動性リスク

流動性とは、素早く現金化できるかどうかということで、「流動性が高い=素早く現金化できる」、「流動性が低い=素早い現金化が困難」、という意味です。株やFXは流動性が高いですが、物件は買い手が見つかるまで時間がかかることが多いので、流動性が低いといえます。

なかなか売れず、モタモタしている間に物件の価値が低下してしまうことがあります。まさにこれが「流動性リスク」です。

対策

早く現金が欲しい場合は、市場の相場よりも安く売るか、広告費を多く使うしかありません。多少手残りが減りますが、早く売る場合には有効な方法です。

「損をしたくない」、「相場より高く売りたい」という場合は時間がかかります。物件価格の下落が無い、または緩やかな場合は、焦らず納得する価格で売却する方が良いでしょう。

失敗して自己破産した理由

不動産投資で失敗する人には「6つの共通点」があります。それぞれ見ていきましょう。

1.空室対策を考えていない

不動産は一度買ったら終わりではありません。完全放置で収益が入る物件もありますが、そうでない物件もあります。

先述したように、不動産には空室リスクがあります。この対策をきっちり行うことが安定した経営のために非常に大事です。立地以外だと、物件の内装や設備も空室リスクにつながります。

老朽化してくると、どうしても汚れや傷が目立ってきます。これを放置しておくと、物件の内乱の時にマイナスな印象を持たれてしまい、入居が決まらない原因になってしまいます。

最低限の修繕やリフォームを行い、部屋内を清潔に保つことが大事です。ただし、過剰なリフォームはいりません。巷では、壁紙をビタミンカラーにするとか、照明をオシャレにして空室を埋めるということが流行っているようですが、これは不要です。

部屋内がぱっと見できれいに見えて、家賃も適正価格であれば、一定の確率で入居が決まります。最低限の修繕で入居が1~2ヶ月決まらない時には、家賃や内装を見直し、改善できるポイントをどんどん改善しましょう。

2.利回りに目がいってしまう

利回りは「表面利回り(グロス)」と、「実質利回り(ネット)」の2種類があります。単に利回りと言う場合は、表面利回りを指すことが多いです。

表面利回りの計算方法は以下の通りです。

表面利回り(%)=年間賃料/物件価格×100

この数字が高いほど、物件当たりの投資効率が高く、収益性が高いことを意味します。最近の傾向だと、とにかくこの表面利回りを上げることに主眼を置いている人が多いのですが、これが失敗のもとになります。

実際の収入は、年間賃料から返済金や税金、メンテナンス費用などを引いた値です。また、物件購入時には物件価格以外にも、税金や司法書士代などがかかります。

これらを考慮した実質利回りは、以下の式で定義されます。

実質利回り(%)=(年間賃料―税金などのコスト)/(物件価格+諸経費)×100

この計算で出した値が本当の利回りです。表面利回りが高い物件は、中古の築古物件に多く、表面利回りしか気にしない人は老朽化が進んだ築古物件を買ってしまいがちです。

しかし、いざ買ってみると、リフォームや修繕、空室を埋めるための営業費用などでコストがかさみ、実質利回りが表面利回りよりだいぶ下がってしまうケースがあります。

すると、表面利回をもとに計画していた収益がでなくなり、経営を圧迫してしまいます。利回りを気にする場合は「実質利回り」を見ましょう。

3.物件購入で失敗する

物件購入で失敗する原因としては、「土地勘のないところで物件を買う」ことと、「高値掴みをしてしまう」ということでしょう。

土地勘のないエリアの物件を買った場合、周辺物件の入居率がわからず、いざ買ってみたらあまり部屋が埋まらないというリスクが想定できます。また、物件の入居状況は近くの企業や大学に依存していることが多いのですが、それに気づかなかったというケースもあります。

また、物件購入をする時には、売主の言い値のまま買ってしまう人が多いのですが、不動産は値引き交渉をするのがセオリーです。

売主は、何らかの理由で物件を売りたいわけです。もしかすると、急に現金が必要になったのかもしれません。そんなときに、すぐに買うので100万下げて欲しいと言われたらどうでしょう。売主は心が動かされるはずです。

100万円と言うと大きい金額だと思われがちですが、不動産の価格は数千万円が標準なので、そのスケールで考えると、100万円くらいならと考えてしまいます。しかし、100万円値段が下がれば、それだけ利回りが良くなり、収益性が高くなります。

100万円程度であれば、比較的値引きに応じてもらいやすい金額なので、ダメもとで交渉してみて下さい。値段が下がれば儲けものです。逆に交渉せずに言い値で買ってしまえば、本来下げられるはずだった値段分を損してしまうかもしれません。

不動産投資を効率よく行うためにも、是非値引きを検討してみてください。

4.管理が行えていない

物件の管理は、管理会社に委託することが一般的です。しかし、その管理会社に払う管理費用を抑えるために、自分で物件管理をしようとする人がたまにいます。

しかし物件の管理は意外と大変で、入居付け、清掃業務、退去、賃料の徴収、クレーム対応など、多岐に渡ります。

専業大家さんならなんとかなりますが、兼業のサラリーマン大家さんではほぼ不可能です。サラリーマンが管理業務を行おうとすると、結局どこかでつまずき、ろくに管理を行えない状況になります。

管理がずさんだと、入居者からの信頼を失い、退去されてしまう原因にもなります。入居付けも難しいですから、そのまま空室になる可能性が非常に高いです。結果、管理費用のコストを抑えるはずが、そもそも収入が入ってこないという状況になってしまい、本末転倒になってしまいます。

管理は素直に管理会社に任せた方が安全ですし、結果的に収益につながります。自分にしかできない仕事(物件の選定など)に時間を割くようにしましょう。

5.赤字経営の実態を把握していない

赤字経営とは、売り上げから減価償却を含むコストを減じた額が赤字になることを言います。赤字にしておくことで、税金が安くなり、節税になるのは間違いなく、サラリーマンの場合は損益通算することで、税金の還付を受けられる可能性があります。

しかし、赤字経営を続けると、銀行からの信用が低下し融資を受けづらくなったり、手元にキャッシュが残りづらい状況が続いてしまいます。

こうなると、その後の不動産投資の継続が困難になっていきます。そもそも収益を目的として始めたはずなのに、その意味が薄らいでしまうわけですね。物件を買って1年目は経費が多くかかるので、赤字でも仕方ありませんが、2年目以降は適度に節税しつつ、ある程度黒字を計上しておいた方が無難です。

6.詐欺師に騙された

最近では、2020年のオリンピックが開催されることが決まっているため、地価が上がるから不動産を買った方が良い、マイナス金利で利回りが上がるから物件を買った方が良いという、わりと説得力のある詐欺が流行っています。

これらの詐欺に乗っかって物件を買ってしまうと、数千万円の損をする可能性があります。怪しいツボを数十万で買う、なんてかわいいもんです。被害額が大きいので、絶対に引っかかってはいけません。

よくある手口としては、電話を突然かけてきて、「良い物件があるのですが…」と切り出され、かなり条件のいい物件の情報を話されます。しかし、実際には修繕が必要であったり、何か瑕疵がある物件である場合が多いです。

また、ネット上のポータルサイトに条件のいいサイトを載せておいて、問い合わせると、「先ほどちょうど売れてしまいましたのでこちらの物件がおススメです」というようにスイッチングされる可能性もあります。

不動産投資の詐欺に共通することは、とにかく物件が魅力的ということです。現在の市場は物件の流れが早く、プレイヤーも多いため、良い物件はすぐ買われますし、良い物件が売りに出されることはほぼありません。

多くの人がどこか妥協して物件を買っているのが現状です。そんな中で、だれもが欲しがるような物件が出てくることは考えにくいです。このようなうまい話を出された時には気を付けましょう。

まとめ

不動産投資は投資として安定しやすく、魅力も多いのですが、やはりリスクはつきものです。購入前に物件を精査し、リスクを洗い出して、それでも収益が取れると判断できる場合に購入しましょう。

そのためには多くの失敗事例を学ぶことが大事です。不動産投資に失敗した人の原因を分析してみると、今後の不動産投資に活かせる知見を得られます。