学生をターゲットにした不動産投資を行う場合、メリットやリスクとしてどんなことが挙げられるでしょうか。
大きな大学付近の物件を購入すれば、毎年多くの学生が物件を探しに来ますので、物件への新しい入居者を期待することができます。しかし学生にターゲットをしぼった場合、メリットもあればデメリットもあるため、これらを踏まえたうえで物件を購入しなければ後々失敗しかねません。
学生向けのアパートやマンション経営について知り、賢く不動産投資を行いましょう。
学生向けのアパートマンション経営
不動産投資を考えたとき、一度は、学生向けのアパートやマンション経営も視野に入れたことがあるのではないでしょうか。学生をターゲットした不動産投資は、ある程度立地が良ければ、古くて木造の安い物件を購入し、少ない初期投資で始めることができます。
しかし、いまは少子化です。いままで満室であった学生向けの物件でも集客が難しくなっているものもあります。もし、学生向けの不動産投資を考えているなら、その特徴を踏まえたうえで、収益が見込める物件を探すべきです。
メリット
まずは学生をターゲットとした不動産投資のメリットについて解説します。
入居と退去の時期をつかむことができる
大学生が入居するのなら、基本的に入居してから4年後に退去することになります。
入退室のサイクルがつかみやすいため、前もって新しい入居者の募集をかけることやクリーニング業者やリフォーム業者に委託をしておくことができ、空室期間を短くすることができます。
保護者の保証を受けられる
借主が学生であれば、保護者が保証人となることが一般的です。家賃も保護者が支払うようになりますので、滞納のリスクも低くなります。
子どもに一人暮らしをさせてまで進学をさせようとする保護者は教育熱心であることが多いため、何かトラブルがあったときも責任をもって対処してもらえる可能性が高いです。
社会人になっても入居しつづけるもらえる場合もある
学校卒業後に就職した会社が近くだった場合、そのまま入居しつづけてもらえる可能性もあります。そうなれば長期の入居が期待できます。
物件の購入資金、維持費が安い
学生向けの物件は建物や設備が古い等条件が悪いものであっても家賃が安ければ、入居が見込めます。
そのため、購入資金が安い物件を購入し、不動産投資を始めることが可能です。木造のアパートを購入すれば、定期的なメンテナンス費用もRC造りやSRC造りに比べればずっと安くなります。
不動産投資を成功させるための1つがコストを低く抑えることですので、これは大きな強みとなります。
学生向けのアパートやマンションを経営するよくあるトラブル
学生向けのアパートやマンションでよく起こるトラブルについても把握しておきましょう。
騒音トラブル
親元を離れて一人暮らしを始めるとやはり寂しさから友人を部屋に呼ぶことも多くなります。静かに時間を過ごすのであればいいのですが、お酒が入ると友人たちと大騒ぎをする学生もおり、騒音トラブルに発展することもあります。
知らない間に同居者が増えることも
狭いワンルームに一人のみ入居可という条件で貸借していたとしても、気がつけば友人2,3人で住んでいたなんていうこともあります。貸したらそのままにしておかず、定期的に確認することも必要です。
ごみの分別ができない
親元で住んでいるとどうしても親がすべてしてしまうことが多く、いざ自分でごみ出しするときに分別ができていない状態でごみを出す学生も少なくありません。
掲示板などよく目立つ場所に、ごみの分別表を貼るなどの対策をするようにしましょう。
学生向けのアパートやマンションを経営する場合によくあるリスク
投資はリスクヘッジも重要です。学生をターゲットにした不動産投資で発生するリスクについても理解しておきましょう。
学校が移転
中央大学法学部は1978年に東京都千代田区に設立されていたものを郊外である八王子市多摩に移転させましたが、2022年までに都心部である文京区に再移転させることが決まりました。
八王子には数多くの大学がありますが、中央大学以外にも、法政、共立女子、実践女子などの私立大学は既に八王子から都心へ移転しています。これは関東だけではなく、関西でも起こっており、立命館大学も郊外から都心へ大学を移転させています。
学生は120万人程度で推移していますが、2031年には100万人を切るといわれています。少子化のために経営難に陥る大学の増加も危惧されており、生き残りをかけてより多くの学生を確保するためにアクセスのいい都心へ移転させる大学が増えています。
大きな総合大学があるから、今後もずっと多くの学生が流れ込んでくるわけではありません。いまは多くの学生が住む街であっても、何年か後には大学の移転とともに学生も流出してしまうこともあります。
入学、卒業時期以外の入居を期待できない
4月に入居する学生を期待することができても、その時期を逃すと入居者の確保が難しくなってしまいます。その時期に入居が決まらなければ1年間空室のリスクもあり、そうなれば家賃収入が大きく減少してしまいます。
これからも集客を見込める学生向けの物件とは?
学生向けのアパートやマンションで、これからも集客を見込める物件とはどんな物件なのか解説します。
学校が近い
当然、学校に近い物件が人気です。学生の一番の目的は通学ですので、学校に近いことを一番の条件にしている学生が大部分を占めます。
アルバイトの求人が多い
学生の仕送りは平均7万円です。住む場所によっても変わってきますが、一人暮らしをするためにはだいたい12万円ほどかかるため、ほとんどの学生はアルバイトしながら学校へ通学しています。そのため、アルバイト求人の多いエリアは人気があります。
スーパーの近く
自炊することが多いため、スーパーが近くにある物件は人気です。食材が安いお店であればさらにいいでしょう。
駅に近い
多くの学生の主な交通手段は自転車と公共の乗り物になります。駅が近いと移動しやすいため人気です。バス停もないよりもあったほうがいいですが、電車などに比べると人気が落ちます。
ターミナル駅が近い
学生は遠方にある実家に帰省する機会が多いため、ターミナル駅の近い物件も需要があります。
災害に強い
首都直下地震や東南海地震は30年以内に70%以上の確率で発生するといわれています。そのような地震のリスクが高いエリアの場合、災害が起こっても安全性の高い、耐震性に優れた物件を選ぶ学生も多くいます。
治安がいい
学生ははじめての1人暮らしになりますので、親も子どもの安全については気になります。そのため、治安のいいエリアは人気です。
まとめ
不動産投資では、何年か先ではなく、何十年か先までを予測して物件を購入することが必要です。
少子化が進んでいるため、学生も今後減少していきます。そのため、以前は郊外にあった私立大学なども生き残りをかけ、アクセスのいい都心に場所を移す大学も増えてきました。
このように移転する大学もありますし、いずれは閉鎖せざる大学がでてくる可能性も十分考えられますので、大きな総合大学が近くに1つあるからといって安易に物件を購入してしまうことは危険です。
学生向けのアパート、マンション経営を考えているのであれば「いくつかの大学が集まっている」「都心部までのアクセスがいい」「単身サラリーマンの入居も見込める」などいくつかの条件がそろっている物件を購入することをおすすめします。