サラリーマン大家は区分と1棟マンションどちらがおすすめ?

サラリーマン大家は区分と1棟マンションどちらがおすすめ?

一般的な不動産投資としては、区分マンションと一棟物件の2つの選択肢があります。

両者は同じ不動産投資でも、メリット・デメリットが異なります。これから不動産投資をしようと思っている方は、この違いを理解した上で物件を購入しましょう。

区分マンションと一棟物件の違い

区分マンションとは、マンションなどの一室を所有することを言います。種類はワンルーム、ファミリー向け、オフィスなどがあります。

これに対して一棟物件は、建物を丸ごと所有することを言います。種類はマンション、アパート、オフィスビルなどがあります。首都圏では、都心の一棟マンションは高額になるため、神奈川・千葉・埼玉あたりで一棟アパートを経営する方も多いです。

区分マンションと一棟物件の一番の違いは、投資金額の大きさです。投資額が大きいのは一棟物件です。例えば、中古の区分マンションは、都心のワンルームなら数百万円〜1千万円台から購入できます。中古の一棟物件は、アパートなら数千万円〜、マンションなら億単位になることもあります。

不動産投資初心者の方は、「投資額の大きい一棟物件は自分には無縁だ」と考える方も多いですが、年収700〜800万円以上なら融資の審査に通る可能性があります。そのため両方のメリット・デメリットを比べて選択すべきです。

区分マンションのメリット・デメリット

具体的に、区分マンションと一棟物件のメリット・デメリットを比較していきます。まずは区分マンションのメリットから見ていきます。

区分マンションのメリットは?

主なメリットとしては、次の3つが考えられます。

手頃な投資金額から始められる

区分マンションのメリットは、一棟物件と比べて初期費用がかからないことです。日本最大の住宅情報サイト『ライフルホームズ』で、都内の中古マンション/500万円以下の条件で検索してみると、JR中央線沿線に限っても40以上の物件が出てきました。※記事執筆時の情報です

「東京都内のマンションは高い」と思い込まれている方もいると思いますが、このように区分マンションなら百万単位の物件もたくさんあります。

環境悪化のリスクを分散できる

これは区分マンションと一棟物件で、同じ部屋数を購入したケースで考えてみると分かりやすいです。区分マンションで10部屋持った場合、複数のエリアに分散して経営することができます。

例えば、Aエリアに2部屋、Bエリアに3部屋、Cエリアに5部屋といった具合です。そのため、Aエリアの環境が悪化し、そこにある2物件に空室が発生しても空室率20%に抑えることができます。

これに対して一棟物件の場合は、同じ立地の建物の10部屋を所有しているわけですから、環境が悪化すれば空室率が高くなる恐れがあります。

区分マンションのデメリットは?

区分マンションは、少ない部屋数で経営している大家さんが多いので、一棟物件と比較すると家賃収入が少ない傾向があります。これを解消するには、たくさんの部屋数を所有するしかありません。

理由は後述しますが、区分マンションは一棟物件に比べて、多額の融資が難しい傾向があります。そのため、数多くの部屋数を保有したいと考える方にはこの部分がデメリットになる可能性があります。

一棟物件のメリットとデメリット

次に、一棟物件のメリットとデメリットを見ていきましょう。

一棟物件のメリットは?

主なメリットは次に挙げる2点です。

融資の審査で有利

一棟物件の最大のメリットは、融資額が大きいことです。区分マンションと比べると、圧倒的に有利な条件で融資が受けられます。その理由は、一棟物件には十分な敷地があるからです。

マンション購入の融資の審査においては、借り入れをする方の収入も注目されますが、一番重要なのは購入しようとしている不動産物件の価値です。物件の価値が高いほど、多額の借り入れがしやすい傾向があります。

そして、その物件の価値は、「建物+土地の合算」によって算出されます。一棟物件は区分マンションに比べて、土地の価値が大きいため、その分、多額の融資を受けやすいです。

空室リスクが少ない

もう一つのメリットは、区分マンションと比較した場合、部屋数が多いので空室リスクが低いという点です。例えば、区分マンションの2部屋のうち1部屋が空けば、空室率50%になります。2部屋が空いてしまえば空室率100%です。

一棟物件では20部屋あるうち1部屋が空いても、空室率は5%でしかありません。2部屋が空いても、空室率は10%です。つまり、母数が多いほど安定した経営がしやすくなるということです。ただし、これは区分所有でもたくさんの部屋数を購入すれば同じ理屈が言えます。

一棟物件のデメリットは?

主なデメリットは次の2点です。

平均以上の年収と頭金が必要

ある程度の年収が必要ということが、一棟物件のデメリットです。具体的には、700〜800万円くらいの年収がないと、一棟物件の審査は通りにくいと言われます。

また、物件の立地条件などが良い場合は、購入額の全額を融資してもらえる場合もありますが、一般的には頭金を用意する必要があります(その額はまちまちです)。貯蓄のない方にとってはこの部分もデメリットになるでしょう。

市場に出回る物件数が少ない

区分マンションと比較すると、一棟物件は市場になかなか出回りません。少ない物件数からさらに利回りの高い掘り出し物を探すのはひと苦労でしょう。加えて、一般的な不動産投資会社だと区分マンションの取り扱いが中心で、一棟物件には不慣れというコンサルタントがほとんどです。

信頼できるパートナーを探すのにある程度の労力を覚悟しなければなりません。

一棟物件の購入時の注意点

一棟物件を購入する時、「マンションとアパートどちらを選択するか?」で悩む大家さんは多いです。違いは耐用年数です。鉄筋コンクリートのマンションの耐用年数は47年、これに対して木造アパートは22年です。

金融機関からの借り入れは、耐用年数が長いほど融資額が多くなります。そのため、融資を使って一棟物件の不動産投資をする時は、耐用年数が長い鉄筋コンクリートが候補になりやすいです。アパートにこだわるなら耐用年数が長い築浅物件が良いでしょう。

もう一つの注意点は、リフォーム時期と規模の見極めです。一般的なサラリーマン大家さんなら、購入物件が手頃な築古物件を購入する方も多いでしょう。築古だと近い将来リフォームが必要となる場合が多いので、どれくらいの規模でいつリフォームすべきかを考えた上での購入が賢明です。

まとめ

区分マンションのメリットは、手頃な投資額からはじめられることです。その分、部屋数が少ない時は家賃収入も少ないというデメリットがあります。一棟物件のメリットは、部屋数が多いので家賃収入が大きいこと、多額の融資を得やすいことです。デメリットは、平均以上の収入(具体的には700〜800万円)と頭金が必要ということです。

こういったコラムでは、「区分マンションVS一棟物件」どちらがいいか?という視点になりがちですが、この2つに優劣はありません。最終的には、立地が良ければどちらの形態でも収支が合いやすいです。そのため、区分マンションと一棟物件を組み合わせて経営している大家さんもたくさんいます。

それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、どちらが自分の投資スタイルに合っているか判断して、堅実に不動産投資をおこなっていきましょう。