アパートやマンションを購入した場合、1棟目を購入したら2棟目、3棟目…と買い足していく人も多いと思います。一方で、厳選した一棟のみを所有する投資家もいます。
今回の記事では、どちらが良いのかという前に、1棟のみ所有するタイプの投資手法にスポットを当て、メリットやデメリットについて解説します。
アパートやマンションの1棟経営について
アパートやマンションを1棟のみ経営している投資家は、どちらかというと少数派です。その一番の理由は、複数等所有のほうがキャッシュフローが多いからです。
1棟所有の投資家は、サラリーマン大家さんに多いのですが、その理由は、管理が楽で手間がかからないからです。そんな1棟所有の場合のメリットデメリットを見ていきましょう。
メリット
上記の通り、一番のメリットは、1棟のみ所有のため手間がかからないことです。そのため、兼業のサラリーマン大家さんでも管理しやすく人気の手法です。具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
物件を厳選できる
1棟のみを厳選して狙って購入するため、失敗しにくく、経営もうまくいきやすい特徴があります。
加えて、よく狙って購入した1棟のため、愛着が沸きやすく、自分自身で清掃活動をしたり、退去後の内装を考えたりと、自然と経営努力を行えるというメリットもあります。
返済比率をコントロールしやすい
通常は、たまったキャッシュフローは次の物件を購入するために使いますが、1棟だけ所有することを考えた場合、キャッシュフローはどんどんたまっていきます。
しかし、せっかくのキャッシュを置いておくのはお金を眠らせておくことに等しく、投資家目線で考えると非常にもったいないですよね。そこでおすすめのお金の使い道が、ローンの繰り上げ返済です。
ローンの繰り上げ返済を行うことで月々のローン額が減り、さらにキャッシュがたまりやすくなります。また、返済額が減ることで返済比率に余裕ができ、空室ができたときにも赤字になるリスクを低減できます。
1棟目は銀行からの融資がおりやすい
1棟目の融資は、どこの銀行からも借りやすいという特長があります。その理由は、1棟目購入前はまだ大きな借金が無く、銀行からみると非常に貸しやすい属性だからです。
複数棟を所有していると、その所有数だけ借金が増えますので、銀行からみるとリスクが大きく貸しにくくなります。複数等所有の場合、すでに所有している物件の経営状況や、すでに所有している物件の資産性、すでに借りているローンの返済状況が見られます。
1棟目の購入前にギャンブルなどで借金を作ってしまったり、金融事故を起こした経験がある人はそもそも借りることが難しいですが、そうでない人は1棟目の融資がスムーズにおりることが多いため、購入にあたってはそれほど苦労しません。
そのため、銀行の選定は慎重に行うべきです。なるべく金利が低く、返済期間を長くしてくれる銀行を選びましょう。
1棟のみ所有のリスクや失敗例
1棟のみ所有は上記のようにメリットがいくつかありますが、一方でデメリットもあります。
キャッシュフローの増加速度が遅い
1棟所有の場合のキャッシュフローの増やし方は、地道に家賃を上げるか、繰り上げ返済しかありません。家賃は頑張って上げても数千円(5千円以下が多い)で、仮に10室の賃料を上げたとしても、数万円(5万円以下)ですね。
繰り上げ返済はたしかに効果があり、完済できればキャッシュフローは数十万円になるでしょう。しかし、完済まで時間がかかりすぎます。数千万円の借金を月々のキャッシュフロー数万円から十数万円の中から返済していくのは気が遠くなります。
空室リスクや急な出費に対して脆弱
投資の世界では、「1つの籠に卵を盛るな」と言われます。これは、1つの投資案件に依存しすぎると、その案件がダメになったときに損しか残らない可能性がある、ということです。
1棟所有の場合は、まさに「1つの籠に卵を盛っている状態」です。何らかの事情によって、空室が多く発生してしまうと、月々のキャッシュフローが赤字になってしまう可能性があります。もしくは、急に修繕が必要になる場合もあるでしょう。
そういった場合、他に物件を所有していれば、その物件から得られるキャッシュを用いて、一時的に赤字を補填することが可能です。
1棟所有の場合はこの方法が使えませんので、自分の貯金や給与から手出しすることになります。お金を増やそうと思って始めたのに、手元からお金が出て行ってしまっては本末転倒です。
まとめ
1棟のみ所有の不動産投資手法は、忙しいサラリーマンには適しているといえます。実際、手がかからない以外にも複数のメリットがあり、やる価値はあります。
ただし、何か問題が発生したときに、キャッシュが少ないことが原因で手詰まりになってしまう危険性も常にあります。このリスクを回避するためには、複数棟を所有することをお勧めします。
1棟目がうまくいったら、1棟目でためたキャッシュを2棟目へ。さらにその先へという風に、徐々に棟数を増やしていくことで、リスクヘッジになりますし、キャッシュフローも増えていきます。
まずは1棟目に集中するという考え方は正解ですが、1棟だけにこだわらず、複数等所有も視野に入れながら投資を行ってみてください。