不動産投資を法人化して会社設立するタイミングと手続き方法

不動産投資を法人化して会社設立するタイミングと手続き方法

不動産投資をしている方にとって、法人化は気になるテーマ。「法人化すると節税になる」とよく言われますが、どのような仕組みなのでしょうか?その他のメリットやデメリットを交えながら解説します。

不動産投資の法人化について

主なメリットとデメリットを列記しました。この内容をもとにご自身にとって「本当に法人化が有効なのか」を検証してください。

法人化のメリット

法人化には様々なメリットがありますが、不動産投資家がもっとも魅力を感じるのは節税でしょう。日本の税制の大きな流れとしては、個人の税率が上がる一方、法人の税率が抑制される方向にあります。とくに高額所得のサラリーマンは高負担感が強まっており、打開策として不動産投資を行い、さらに法人化して節税に力を入れる方が増えています。

所得にかかる税が抑制できる

個人と法人では、所得に対する設定税率が違います。そのため、同じ額の不動産所得でも個人と法人では税率が変わってきます。

税率が違う理由は、適応になる税金の種類が違うからです。個人事業主の利益にかかる税金は「所得税」と「住民税」、法人の税金は「法人税」です。両者は税率が違うのでおのずと納税額が変わってきます。

不動産所得が少ない段階では、青色申告の特別控除の節税効果が高いです。しかしある程度、所得が増えてくると法人税の方が税金を抑制できます。最高税率で比べると、所得税と住民税を合わせると50%超、これに対して法人税は約30%。所得が増えるほど法人の方が優位です。

身内に所得分散できる

法人にすると、妻や子などに役員になってもらうことで所得分散が出来ます。合わせて、マンションの管理業務を手伝ったり、法人の業務をしたりするなど仕事をしている実態がある役員は、給与所得控除の対象になります。ただし、これは他の会社から給与を受け取っていないことが前提です。

社長や役員に退職金を払える

法人にするとあなた自身や役員に退職金を払うことも可能になります。払う側の会社にとっては、退職金は経費扱いにできるため節税効果があります。受け取る側の役員にとっては、一般の給与に比べて税率が低く手残りが多いメリットがあります。

生命保険を利用して利益を留保できる

役員を保険加入することで今期の納税額を圧縮できます。全額損金(経費扱い)にできるタイプの保険で、解約した時の返戻金の設定が高いプランを選べば、効率的に利益を外部ストックできます。たとえば返戻率95%以上の保険だったら、払った保険料のうち大半がリターンされます。これによって今期の納税額を減らし、来期以降に利益を(実質的に)動かすことができます。

融資が有利になる

経営規模を拡大したい方にとっても、法人化はメリットがあります。不動産投資の成功パターンは、手持ち物件の残債を減らし、それを担保に追加融資を受けながら規模拡大を図っていくものです。

この追加融資を金融機関にお願いする際、法人化している方が社会的信用があるのでスムーズです。加えて融資の上限は、法人の枠の方が大きい傾向があります。返済期間の設定も法人化している方が有利な場合が多いです。個人は75歳までに返済を終えることを前提に返済期間が設定されることが多いです。法人への融資の場合、承継する方が決まっていれば代表者が高齢でも融資が可能です。

補足としては、せっかく法人化しても赤字体質であれば、金融機関からの信認が得られず、追加融資が受けられない点に注意が必要です。

損失を最大9年繰り越せる

損失の繰越も法人の方が有利です。不動産投資でその年度の決算が赤字になった場合、損失の繰り越しは、個人では最大3年ですが、法人化している場合は最大9年で大きな開きがあります。

相続税の対象にならない

個人名義の不動産はすべて相続税の対象になり、高い税率がかけられます。法人名義にしておけば、代表者が亡くなっても相続の対象にならないので、資産の目減りを防ぐことができます。ただし株式は優良企業であればあるほど、評価額が高くなり相続時の負担になるので、生前に計画的に家族などに譲渡することが重要になります

不動産投資の法人化のデメリット

法人化によるデメリットもありますが、ある程度の所得がある方にとっては、メリットとデメリットを比較すると前者の方に軍配が上がります。

会計や決算の手間がかかる

個人事業主と比較して会計や決算の手間がかかるため、税理士に払うフィーが増えてしまいます。年に1回の決算書の作成はもちろん、月次の帳簿管理も個人事業主の時以上に綿密にしなければなりません。

赤字でも法人住民税を払わなくてはならない

節税できるのが法人化のメリットでしたが不利になるケースがあります。決算が赤字になった場合、個人の住民税は払わなくて済みますが、法人住民税は払う必要があります。

物件の売却益にかかる税率が高い

物件を売却した時の譲渡益にかかる税率は、個人よりも法人の方が高い設定になっています。個人の場合は、5年以上所有した物件の売却益にかかる税率は20%です。法人の場合は、400万円超800万円以下の場合は23.20%、800万円超の時は34.33%の税率になっています。

タイミングはいつがベスト?

法人化した方が良い所得のボーダーラインは他の所得との兼ね合いがあるので、はっきりとこの額とは言いづらい面もあります。目安としては、不動産賃貸事業の「売上−経費」の利益が1000万円を超えてきた時はメリットが大きいと言われます。

そう考えると、不動産投資を始めたばかりの所有物件1〜2戸の方は時期尚早です。とはいえ、法人化のメリット、デメリットを今のうちから理解しておくと、いざ法人化をする時にスムーズに実施しやすいです。

プライベートカンパニーを設立する際の手続き方法

プライベートカンパニーとは、「個人の資産を保有すること」を目的に設立された法人のです。組織形態には様々ありますが、ここでは株式会社の設立の流れを見ていきます。

定款の用意

会社名、事業目的(不動産賃貸業)、本店所在地(自宅で可)などを決めたら、会社の基本ルールをまとめた定款を作成します。これはダウンロードしたフォーマットを基にして構いませんが、そのまま使わず細かい部分に手を入れて自分の会社に合ったものにしてください。

登記の準備

登記のために用意する書類としては、資本金の払込証明書、登記申請書、印鑑(社印)届出書などがあります。株式会社を設立する時には、定款・登記の諸費用で25万円前後がかかります。この業務を司法書士などに委託する場合は、プラス10万円がかかります。

登記の実行、各種手続き

登記の申請は、直接、法務局に行く以外に郵送やネット上でも可能です。これが終わったら、税務署や労働基準監督署などの各種届け出も行いましょう。

税理士の決定

会社を本格的にスタートアップする前に、税理士を決めておく必要があります。月次の売上・経費などの会計と、年に一回の決算書の作成の両方をお願いするケースと、決算書の作成だけを依頼するケースがあります。

以上が法人化までの大きな流れです。法人立ち上げまではある程度の手間を要しますが、スタートアップを超えて軌道にのせ、メリットを享受しましょう。

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